見出し画像

アースデイユース現代表の辻田さん×新代表の上野さん対談!「環境問題を自分ごと化」するには?

この1年、連載してきた「アースデイユース フードドライブ」。最終回は、アースデイユースの現代表を務める辻田さんと、次期代表のバトンを受け取った上野さんとの対談をお届けします!
 
新代表の上野さんはどんな人なのか?辻田さんが一年を通して感じた課題や、上野さんに期待していることは?そして最後に、カボニューなアクションを続けていく秘訣などをお2人にお話ししていただきました!

辻田 創(つじた そう)さん

23年3月に神戸市外国語大学を卒業。
東京五輪食品ロス削減プロジェクト、Global Student Cleanupなどの立上げを行い、マイクロソフト、米国総領事館、リクルートなどでインターンを経験。模擬国連ニューヨーク大会、社会事業コンペ世界大会、ハッカソンなどにも出場。
将来の夢は、50歳でユーチューバーをしながら世界1周すること。

上野 我唯(うえの がい)さん

千葉市で生まれ、3歳のときにマレーシアに移住。
高校入学を機に日本に戻り、23年3月にかえつ有明高校を卒業。
高校在学中に、対話に関するオンラインイベントを主催、SDGsについての著書の出版、カリキュラム設計などにも参加。他にもフリースクールでの先生経験や、「破く絵本」の制作、哲学対話に関する発表を行うなど、様々な活動に取り組んでいる。

現代表・辻田さんが、ユースの代表を務めてきて感じたこととは?

上野さん: 創さん、アースデイユース代表お疲れ様でした。これまで、フードドライブとか、食に関する取り組みをずっとやってこられて、「これは難しかったな」ってことありますか?
 
辻田さん:もうね、めっちゃあって。メンバーの何人かが言っていたのは、フードドライブは寄付するだけで終わってしまって、その食品が誰に届いたのか、自分が本当に貢献できたのかまで見えにくい。その不透明性みたいなところが、フードドライブが続かない理由なんじゃないかと。
 
あとは、フードドライブで寄付できる食品って、2か月以上賞味期限があって、かつ保存がきくものっていう決まりがあって。例えば、缶詰、レトルト食品、パスタとかね。となると、2か月以上もつものだったら、寄付せず自分で食べようってなると思うのよ。そうすると、家にある食品の中で寄付できるものを探すのって意外と大変で。
 
食品ロスの解決策としてフードドライブを掲げていたけど、食品ロスでないものしか寄付できない仕組みなのが、難しいと思ったね。
 
上野さん:なるほど。最近では、フードドライブで寄付できない生ものを、別のかたちの商品に変える取り組みをしている方もいますよね。
 
辻田さん:そうね。でもまずは、「ロスを出さない」っていうのが一番大事だよね。3Rの「リデュース」が一番初めに来るみたいに。

上野さん:アースデイユースの活動が始まって3年目。創さんが今まで代表を務めて、感じたこと・考えたことってなんですか?
 
辻田さん:アースデイ東京という20年以上活動している組織の中でユースのコミュニティを作れたのはとても効果的だったなということ。
 
学生だけでなにかをやっていくには、いくらモチベーションがあったとしても、ノウハウや資金が少なく、活動に限界があって。一生懸命やったけど、成果にならなくてやめてしまう人もいたりする。
 
だから、アースデイ東京っていう組織のもと、エコシステムができあがっている中で活動できるのは、プロジェクトの完成度が上がっていくからよかったなと思う。
 
例えば、環境問題の取り組みのために食のアクションをしようと思っても、インパクトを残せないと継続は難しい。それを考えると、既存の組織の中に組み込んでもらって活動しつつ、自分たちもできることで組織全体に貢献していくかたちが理想なのかもと感じたかな。

上野さん:もう一つ聞かせてください!代表を僕に引き継いだ理由も気になっていて。僕だからこんなことを実現できるんじゃないかみたいな、期待というか、想いを聞いてみたいです。
 
辻田さん:僕は、起承転結でいうと「起」の人間で、何かを立ち上げることが得意なタイプ。アースデイユースは今、「起」から「承」に移っている段階だから、我唯君には「組織の作り込み」を期待してる。
 
我唯君は、人と向き合って、そこに時間や想いを割くことが好きなはずだから、アースデイユースを次のレベルに引き上げるのに、適任だと思ってる。
 
あとは、アースデイユースの文化を引き継いでいくために、オープンマインドでいることもそうだし、仕事もしっかりやる必要があったり、もちろん環境のことも考えたり、求められることがたくさんあって。余裕がなくなることもあると思うから、心の余裕を作り続けられる人でないといけない。
 
その点でも、我唯君は「やっちゃおうぜ!」みたいな、程よいゆるさがあるからいいと思っていて。うまく周りを巻き込みながら、新しい出会いを大切にしてくれる人が、次期代表になってほしいと思ってたから。

新代表・上野さんが、アースデイユースでの活動を通して成し遂げたいことは?

辻田さん:我唯君がアースデイユースに参加してくれたのって、どんな経緯だっけ?
 
上野さん:もともと知り合いの子が立ち上げた学生団体が、アースデイユース主催の「全国高校生環境アイデアコンペティション」という企画で優勝して、アースデイ東京に出展することになって、それを見に行ったのがきっかけですね。
 
イベントでいろいろな人と仲良くなって、それがめっちゃ楽しくて。環境問題を取り上げたイベントで、こんなに盛り上がれることにびっくりしたんです。そのあと、このイベントを運営しているアースデイ東京っていう団体を見つけて、ユースメンバーを募集していたので、応募しました。

辻田さん:このカボニューの連載では、フードドライブとか食の取り組みをテーマにやってきたんだけど、我唯君は食の問題についてどう考えてる?
 
上野さん:食は自分を構成するもののひとつで、とても身近なはずだけど、まだ自分も意識が足りていないなと思うので、少しずつ考えていきたいなと思っています。

辻田さん:これからアースデイユースの代表として、どう盛り上げていきたいとかある?
 
上野さん:そうですね。まずは、組織作りですかね。今まで、創さんがアースデイユースの活動のうち80%くらいを支えてくれていたと思うんです。残りの20%を他のメンバーでシェアするみたいな。自分はそれほど担えないと思うので、全員を巻き込んで、役割を分担して、一人ひとり人格を持ってもらえるような体制にしていけたらなと思っています。
それに加えて、みんながモチベーションを維持できるように、彼らがアースデイユースにいる意味や達成したいことを明確にしてあげられたらと思っています。
 
あとは、アースデイユース発のプロジェクトをどんどん開催していきたいです。
今、メインのイベントは、4月のアースデイ東京と、8~10月くらいにあるアワードの2つだけど、これ以外にユースが一から作り上げる企画を増やしていきたいですね。あとシンプルに、メンバーを増やしたい!特に関東で。
 
個人的には、学生のうちにこういう活動を経験しておくと将来の選択肢が広がると思うので、環境問題に限らず、勉強や部活以外で、自分がやりたいことを外部でやってみたいなと思う人をサポートできる団体になっていけたらいいなと思ったりしてます。
 
辻田さん:なるほどね。組織作りと、アースデイユース主体のプロジェクト企画をしっかりやっていけると、自ずと課外活動に興味のある学生をサポートできる組織になっていけそうだね。
 
上野さん:課外活動をしたことない子や、何をしたらいいかわからない子が、居心地良いと感じる場にしていきたいなと思ってます。

辻田さん:ネットワークとかはもうあるからね。アースデイユースに所属しているからこそ出会える人がいるみたいな。
 
上野さん:そうそう。環境系がメインですけど、多分野で活動されている著名な方々と出会える機会も多いので、アースデイユースにいて得られるチャンスは多いなと思ってます。
 
辻田さん:アースデイ東京の実行委員会、大人の方々の雰囲気はどう?
 
上野さん:本当に大好きです。今までいろんな学生団体に入って、活動している大人の方や学生をたくさん見てきたんですけど、やっぱりアースデイ東京が一番僕にとってあたたかくて。
 
そもそも、環境問題に取り組む人たちって、地球環境を良くしたいとか社会に貢献したいという想いが強いから、お互いを利害関係で見ることがあんまりないんですよ。そこがすごくいいなって思っています。
 
辻田さん:僕も同じように感じたね。初めましての人に対しても、オープンマインドでめちゃくちゃよくしてくれるし、いろいろ活躍できる機会をくれたこともうれしかったね。

辻田さん:我唯君が、作り上げていきたい世界ってある?
 
上野さん:この質問、本当に悩ましいんですけど…。
最近は、中高生に新しいライフスタイルやマインドをシェアしたい、彼らのサポートをしたいという想いが強いです。僕自身、学校の勉強や部活だけでは、今の人間性になっていなかったし、行動力は身についていなかっただろうなと思う。自分が行動してきたからこそついてきた自信があると思ってて。
 
なので、活動家の高校生を増やしていきたいですね。彼らが、どんな社会で生きていきたいかを考えたり、将来やりたいことについて考えたりできるような機会を作りたいです。
 
環境軸でいうと、ヨーロッパくらいの意識の高さを目指したいですね。すべてをマネする必要はないけど、それくらいの意識を持ちたいとは思っています。
 
日本は集団心理が強い国だから、周りがやっているから自分もやるということが多いと思うんです。数名の意識を変えられたら大勢に届く、きっとその中に自分も含まれるから、やっぱり自分から動かないといけないと思っていて。みんなが自分から動き出すことができる、そんな世界を作りあげられたらなと思います。
 
あと今話しながら思ったのは、自分が作り上げていきたい世界のイメージを、みんなが明確に持っている世界というのが一番いいのかなと思いましたね。

「とにかく一歩を踏み出してみる」そして、「楽しむ」こと。

辻田さん:最後に、僕たち2人に向けてカボニュースタジオから質問です。
「どうやったらみんなが自分ごととして環境のことを考えられるようになると思うか?」「その気持ちを維持していくにはどうしたらいいか?」
我唯君どう?
 
上野さん:とにかく一歩を踏み出して、何かやってみるということですかね。イベントに参加してもいいし、本を読むでもいいし。その一歩を踏み出して、何かしら行動を起こせば、自分ごととして捉えられるようになるのではと思ってます。
 
あとはやっぱり、「楽しむ」っていう精神を大事にすることですかね。「環境問題を解決したい!」という思いだけでは、自分にできることに限りがあるし、気持ちを維持できないと思うんです。
 
辻田さん:うんうん。行動することほど、自分を良くしてくれることはないからね。
 
僕が環境問題に興味を持ったり行動し始めたりしたのは、海外との比較がきっかけだったかな。日本はいい国だけど、SDGsの観点ではまだまだ遅れていると思うし、国全体で掲げている想いと実際の動き方が矛盾していることに違和感を覚えたりして。
 
だから、まずは社会のいろいろなことにアンテナを張ることが、関心を持つ一歩になると思う。環境のことから考え始めなくても、政治や経済、ジェンダー、人権も、地球という土台がなくなったら元も子もなくて。結局は、全部環境につながっているんだよ~ということに気づけたらいいんだけどね。
 
あと、その気持ちを維持するために、負けず嫌いの人におすすめなのが、「ライバルを見つける」ということ。自分は将来海外で働きたいと思っていたから、そのためには海外の同世代のことを知る必要があって、その中で彼らが環境問題に対してどんな意識を持っているかを学んだり、国としての取り組みの違いを感じたり。だから、そのライバルたちにどうしたら勝てるかを考え続けてきたことも、気持ちを維持するひとつの方法だったかなと思いますね。

***
辻田さん、上野さん、ありがとうございました!
 
私たちが生きる世界をよりよくしていきたいという、彼らの熱い思いがひしひしと伝わってくる対談。2人のお話、とても勉強になりました…。
 
この先も、アースデイユースのみなさんの活動を楽しみにしています。
私たちも、楽しむ気持ちを忘れずに、これからも地球にいいことに取り組んでいきましょう!


アースデイ東京ユースのマガジンはこちら👇

この記事が参加している募集