「スイーツ×化学(科学)」の視点から竹の可能性を考える!学生アンバサダープロジェクト【DAY-5】
こんにちは!カボニュースタジオです。
これまでカボニューでは、三重・桑名と東京・渋谷の学生アンバサダーたちが放置竹林の問題と向き合い、その竹を使った商品開発に向けて、活用方法やその可能性を学びながら、熱心に取り組んでいる様子を追いかけてきました。今回はその第5弾!11月7日(火)。スイーツ学などを研究している大手前大学の松井博司教授を招き、「食文化による地域活性化〜スイーツで考える竹の可能性について〜」オンライン講義を実施。その様子をお伝えいたします。
スイーツを4つの分野に分けて考える
元々は化学を専門としていた松井教授は、これまで関係してこなかったスイーツの世界に飛び込み、実はスイーツは「化学(科学)」であるということを実証しているといいます。
<松井博司 教授>
オンライン講習の前半では、「技術」「文化・歴史」「経営(マーケティング)」「情報(デザイン)」の4つの視点からスイーツを紐解きます。
・技術=科学技術
・人間の生活の中には長い歴史の中で培われてきた食文化(食生活)がある
・商品(モノ)を作る以上は売れないと意味がない
・どのような人に向けてどのくらいのボリュームで伝える必要があるのか
など、資料を使いながら学生たちに分かりやすく解説いただきました。
現代は、科学技術を無視できない時代に突入したと松井教授はいいます。
放置竹林の問題においても、単に竹を切ってどう活用するのかだけではなく、「竹の本質(竹の成分やどんな機能があるのかを含め)を学ぶ必要があるのではないか?」と、これまで放置竹林の問題と向き合ってきた学生アンバサダーに向けて、考え方のヒントをいただきました。
日本全国各地の地域活性化に関わるお仕事をされてきた経験を踏まえ、地域活性化を促進するためには「どのように考えて」「どのように行動したらいいのか」を、商品開発秘話などを交えてお話ししてくださいました。
文化と歴史の視点から、「竹」を考える
講義の後半では、「竹」のことを伝えていくときの切り口や、情報の掘り下げ方についてお話しいただきました。
例を一つ挙げると…平安時代に書かれたとされる作者不明の「竹取物語」を取り上げ、竹取の翁が注目された理由、竹の中からかぐや姫が誕生した理由を改めて考えてみる。「竹取物語」にはこんな面白い逸話がたくさんある、掘り下げてみたらこんなこともわかったよ、というのも竹の魅力を伝えるときの一つの手法だと教えてくださいました。
■ポイント
① 竹は成長が早い(最長、1日に1m20cm伸びたという事例もある)
② 子どもは成長が早い
この2つのポイントを踏まえると、竹取物語のかぐや姫はわずか1ヶ月程度で大人になったということにつながるのでは?など、実は面白いことが隠れていることがわかります。
また、明治初期の頃、竹は「素材」として使われた時期があったそうです。電球の中にフィラメントと呼ばれる部分がありますが、その材料がなかなか見つからなかったといいます。(例えば、金属だとすぐに焼き切れてしまってすぐ使えなくなってしまうという問題も)
そこで、いろいろ調べたところ竹がいいということが判明! 世界中から竹の種類を集めてみたところ、日本の「孟宗竹」が一番よかったという。そこから日本の竹に注目が集まったという歴史なども紹介してくださいました。
さらには、竹がどうしてあんなに成長するのか?などについても科学的根拠を踏まえて解説。「ジベレリン」と呼ばれる植物ホルモンが竹の中にたくさんあることがその理由なのだとか。成長を促す成分が多いことが化学的にも証明されているといいます。
一番大事なことは「本質を見極めること」
これまでとは違う観点から竹の歴史を紐解き、竹に含まれる成分やその特徴についても学ぶことができた本講座。竹の本質に触れることができ、竹の活用方法の新たなヒントになったのではないでしょうか。
松井教授の話を聞いた学生アンバサダーから感想や質問をいただきました
「学校では、食べ物に関して科学的根拠に基づいて学んだり、歴史や文化に紐づけて学んだりすることはなかった。食の背景にこれだけ歴史があるからこそ、化学(科学)としての面白さがあることを知った」
「竹について、新たな視点を持って考えることができた」
「竹のスイーツを食べてみたくなったし、それを作れたらもっと多くの人に竹の魅力を広めることができそうな気がした」
「文化や歴史を紐づけることでより面白く感じた。竹について調べてみたいことが増えた」
「ヒントが隠れていそうなので、竹取物語をもう一度読み返してみたい」
「歴史や開発のストーリーがわかるようなスイーツは、消費者の目に留まるはず」
「どうしてこれまで竹を使ったスイーツが出てこなかったのか不思議に感じた。竹の成分の問題なのか、それとも技術の問題なのか知りたい」
など、さまざまな声が上がりました。
最後に松井教授から、学生アンバサダーに向けて言葉をいただきました。
―――松井教授
さまざまなことを地域活性化の材料にするときに、一番大事なことはその本質をまず見極めることです。例えば、竹を使ったモノや文化がどのくらいあるのか? 竹馬を例に挙げてみましょう。みんな当たり前だと思っているので、竹の話の中で、竹馬を取り上げることはあまりしません。しかし、今の若い方たちはほとんど知らないはず…。だからこそ、文化や歴史を掘り起こしてみることが大切なんです。また、文化や歴史を紹介することによって、興味を持ってもらうきっかけにもなり得ます。それが、いろんなものを買いたい、作りたいという欲求につながる可能性を秘めています。
単に、特産品にそれっぽい名前をつけても売れませんよね。そこにウンチク=歴史があって、文化があって、説明があって、中身があって初めて「一回試してみよう」「使ってみよう」「買ってみよう」になるのではないでしょうか。
地域活性化はその全てを総合した「文化」であるということを皆さん、理解していただければと思います。今日はありがとうございました。
松井教授、お話いただきありがとうございました!
今回のお話をヒントにして、今後も放置竹林の課題解決に向き合っていけたらと思います。
さて、いよいよ次回は本プロジェクトのラストを飾るエシカルコスメ発表会の模様をご紹介。学生アンバサダーは、このプロジェクトを通して何を学び、感じたのでしょうか。エシカルコスメの紹介と併せて、ご報告できればと思います。それでは、DAY-6をお楽しみに!