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オン・ジャパンの仕掛人に聞く!「ランニングシューズのサブスク」から広がる、地球へのアクション

衣料品の大量廃棄は、国際的な課題の一つ。特にシューズは、自然環境で分解されない素材を使用していたりするなど、環境に大きな負荷がかかっています。そうした現状を打破すべく、画期的な方法で一歩を踏み出したランニングシューズブランドがあります。
 
世界で初めて100%リサイクル可能なランニングシューズを発表したスイス発のブランド「On(オン)」です。その日本法人「On Japan(オン・ジャパン)」の共同代表を務める駒田博紀さんに話を伺いました。

スイス発ランニングブランド
Onの新たな挑戦

――駒田さん
リサイクル可能な素材を使うなど、これまでにもシューズ業界におけるサステナビリティの取り組みは行われてきました。しかし、素材を作り、商品を製造し、販売して使ってもらい、使い終わったら捨てるという直線型のライフサイクルからは抜けられませんでした。
 
そこで、Onは今年10月に「Cyclon(サイクロン)」という新しいプロジェクトをスタート。これはランニングシューズ業界では初となる、サブスクリプション型でシューズを提供するという画期的なシステムです。
 
半年に1回、ランニングシューズが届いたときに入っていた袋に履き古したものを入れて返却。新しいシューズと交換するという循環型のリサイクルを実現しました。返却されたシューズは完全にリサイクルされ、新たな製品に生まれ変わります。

Cyclonを利用して届くランニングシューズの「Cloudneo(クラウドネオ)」は、トウゴマの種子を原材料とした100%再生可能なバイオベースの単一素材で作られています。つまり、廃棄物を最小限に抑えてリサイクルすることができます。
 
しかもランニングシューズとしての機能や耐久性、走りやすさなどを犠牲にすることなく、高いパフォーマンスを発揮できるシューズとなっています。

シューズの染色を行なっていない点でも、環境に配慮されている

さらに今後、地球温暖化に一番ダメージがあるといわれている炭素廃棄物をプロダクトに使用する、「CleanCloud (クリーンクラウド)」というプロジェクトが始まる予定です。ランニングシューズはもちろん、いずれはアパレルにも展開する想定のため、ファッションとしてシューズやアパレルに興味がある人など幅広い層の方々にとって、環境問題へのアクションに踏み出すきっかけになればと考えています。

嫌いだったランニング。
好きになったきっかけは、「On」との出会い

――駒田さん
もともとスイス系の商社に勤めていたんですが、Onがアジアのマーケットを開拓するにあたり、僕が務めていた会社と契約して日本での展開を始めました。その担当に指名されたのが、僕です。
 
ランニングは、当時僕が一番嫌いなスポーツ。ランニングシューズブランドを扱うことに戸惑いしかありませんでした。担当を断ろうと思っていたくらいです(笑)。なんだかんだOnに関わることになって、まずは自分が履いてみなくちゃと思い、履いて走り始めてみたんです。

写真提供:オン・ジャパン

そうすると、ほとんど走ったことがない僕でも筋肉痛にならなかったんですよね。面白いシューズだなと思ったことから、少しずつ興味が湧きました。
 
Onと出会ってから、公私ともに何かに悩んだときは走るようになりました。なんだか前向きな気持ちになれるんですよ。時々立ち止まりながら、自分のペースで走っていると瞑想しているような感覚になったり…。頭が整理されて、仕事のアイデアが浮かんでくることも。悩んでいたことも解消されて、次のことを頑張ろうと思えるようになりました。
そんな、僕の人生を変えてくれたOnに惚れ込み、今では日本法人の共同代表を務めています。

走ることで自然と高まっていった
環境問題への意識

――駒田さん
僕自身、サステナビリティや環境問題への意識は、Onに関わるまで希薄でした。
ランニングだけじゃなく、トライアスロンやトレイルランニングにも参加するようになり、自然の中で遊ばせてもらっている中で、海や砂浜に落ちているペットボトルや、ゴミに自然と目がいくんですよね。走り始めてから、環境問題を自分事として捉えられるようになったと思います。
 
僕たちは、プロギングイベント ※1にも参画しています。そうしたイベントって、楽しくなければ誰も参加しないし、続けませんよね。サステナビリティや地球環境に配慮した取り組みは、正義感・義務感が強く、努力しなければいけないことのように思われがち。でもそう捉えてしまうと、結局続かないんです。
 
僕が考えるサステナビリティや環境問題への取り組みは、「なんか楽しいから続けていたけど、そういえばこれってサステナビリティだよね!」という状態が一番の理想。楽しいから自然に無理なく続けられる。それがベストじゃないでしょうか。
 
※1プロギング ジョギングをしながらゴミを拾う活動。スウェーデン語の「plocka upp(拾う)」と英語の「jogging(走る)」を合わせてできた造語。

楽しく続けるためには「なりたい自分の姿」を思い描き、ふりかえる

こうした環境問題に対する意識や目標を持ち続けるのって、なかなかむずかしいですよね。僕の場合は、「こういう自分でありたい」という姿を思い描き、常に自分の視界に入れるようにしています。Onのファンの方に話すこともそうですが、InstagramやTwitterなどで個人の想いや考えを書いて発信し、それを折に触れて見返すことで、ゴールを見据えつつも初心を忘れないようにしています。
 
日記やブログ、SNSなど自分が好きなものでいいので、続けようと思った気持ちや目標を言葉にして綴る。それを定期的に見返すことで、過去の自分の言葉が心に響いて、行動を起こしやすくなるのではないでしょうか。
 
***
 
つい堅苦しく考え、「頑張って取り組むこと」として捉えがちなサステナビリティ。しかし、本当のサステナビリティは「楽しみながら続けられる、無意識の継続」にあると教えてくれた駒田さん。
どんな小さな取り組みでも、続けて、記録をして、たまにふりかえってみる。みなさんが楽しみながら続けられる、カボニューがそのお手伝いをしていきたいと改めて感じました。

「Cloudneo(クラウドネオ)」は、オン・ジャパンの原宿フラッグシップ店で実物を見ることができるそうです。興味のある方は、「On Tokyo(原宿フラッグシップ店)」で体験してみてはいかがでしょうか。

On Tokyo Flagship Store
住所:東京都渋谷区神宮前5-17-27
営業時間:11:00〜20:00 (土日祝は10:00-19:00)
定休日:不定休
TEL:03-6450-6995

オン・ジャパン株式会社 共同代表
駒田博紀さん

2014年4月にDKSHジャパンを退職後、2015年5月にOn Japanを設立。ランニングシューズやアパレルをはじめとしたプロダクトの販売はもちろん、ランニング・アウトドアイベントなどを主催し、Onのフィロソフィーを日本のユーザーに向けて発信。また、プロギングなどを通して、環境問題に対する取り組みも行っている。


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