【スローに歩く、北欧の旅#41】北欧のクリスマスを満喫!サステナブルな方法で夢を届ける遊園地とは
みなさん、こんにちは。北欧を旅するライターの森百合子です。カボニューにつながる、北欧での体験を紹介するこの連載。今回は北欧でクリスマスに訪れたい場所、遊園地のお話です。
子どもも大人も、クリスマスは遊園地で
北欧の子ども達がクリスマスに訪れたい場所といえば……遊園地。デンマークにある世界的に有名な遊園地チボリをはじめ、北欧では遊園地の開園時期は夏期(4月末~9月末頃)とハロウィン、クリスマス時期に限られているのが一般的。ハロウィンにも開園するようになったのは比較的最近のことで、遊園地といえば夏休み、または冬のホリデーシーズンのお楽しみといった位置づけなのです。
クリスマス時期には園内でクリスマスマーケットも開かれて、ツリーのオーナメントやデコレーション、この時期ならではの食材などが販売されるので、それを目当てに訪れる人もたくさんいます。園内にはレストランもいくつかあって、忘年会をしているグループも少なくありません。クリスマスの遊園地は、子どもだけでなく、大人も心躍らせる場所なのです。
私も実際に訪れてみるまでは遊園地=子ども向けの場所と思っていましたが、クリスマスのチボリ公園はきらきらのイルミネーションに彩られて、いつにも増してロマンティックな雰囲気に。伝統料理のレストランがあるので、クリスマスの味を盛り合わせたこの時期だけのプレートをいただきました。店内にはパーティをしているグループが何組もいましたが、飲めや歌えやでそれはそれはにぎやか!
クリスマスの味といわれる北欧のホットワイン「グロッグ」や、デンマークのクリスマスの名物おやつであり、見た目はたこ焼きそっくりな「エーブレスキワ」なども園内のあちこちで売っていて、北欧のクリスマスを堪能することができました。
100周年で盛り上がる、スウェーデンの名物遊園地
さて、スウェーデンの町ヨーテボリにも、世界中から客が訪れる遊園地があります。「ヨーテボリを訪れたら、ぜひ行きたい場所」のひとつに挙げられるリセベリは、年間300万人が訪れる北欧最大の遊園地。フォーブス誌が選ぶ「世界の遊園地トップ10」にランクインしたこともある、人気の遊園地なのです。
絶叫系マシンもさまざまにあるリセベリですが、いちばん人気のアトラクションは「バルデル」。なんと木製のジェットコースターなんです。木製と聞いて、浅草・花やしきのローラーコースターのようなレトロでこじんまりとしたものを想像していたのですが、コースは全長1070m、最大傾斜角は70度となかなかに攻めた造りです。プレハブ工法によるレールの足場も見もので、「世界の木製ジェットコースターランキング」(そんなのがあるんですね…!)でも2回、1位に選ばれているんです。
リセベリができたのは1923年。ヨーテボリの町ができてからちょうど300年という節目にあたるその年に、地元政治家の旗振りで市民が息抜きできる場所として開園しました。そして今年2023年は開園からちょうど100周年を迎える記念の年。ヨーテボリ400周年を祝うプロジェクトの一環として、この春には100年もののメリーゴーラウンドを設置したファミリー向けホテルがオープン。また来年にかけてプールやウォータースライダー、人工ビーチなどを併設した巨大ウォーターパークもオープン予定と、敷地も拡大してますます人気が高まりそうな勢いです。
夢の国もサステナブルに
さて、ここリセベリでは2017年からサステナブルレポートを作成しています。アトラクションの動力をはじめ、レストランなどの施設に至るまで園内で使われるエネルギーを詳細に分析し、電力、燃料、地域暖房などの使用量を計算した上で、燃料の使用を可能な限り抑え、現在では100%風力エネルギーに切り替えるなど、サステナブルな運営に舵を切っています。
園内を歩いていると緑色のウサギの耳をつけた子ども達をよく見かけるのですが、グリーンのウサギはリセベリのマスコットキャラクター。園内にはウサギ達が暮らすラビットランドがあり、ウサギのぬいぐるみは人気のおみやげ品です。サステナブルレポートでは、ぬいぐるみの製品ライフサイクルも調査され、気候変動に与える影響を割り出しています。
ほかにもレストランやホテルで使用される製品は環境や気候に配慮したものを選んでいること、またハロウィン時期にデコレーションとして大量に使用されるかぼちゃはバイオガスとして再利用されることなどが細かくレポートされています。
こうした姿勢が評価され、2021年には欧州ブランドの持続可能性を評価するランキングで、トラベル&ツーリズム部門のスウェーデン国内1位に選ばれたリセベリ。観光やレクリエーション施設でも環境や気候に配慮した対応が求められていく現代において、業界をリードする存在となっています。
クリスマスにはリセベリのマーケットも毎年にぎわいを見せ、クリスマスのショーや園内レストランでのクリスマスのビュッフェをお目当てに訪れる人も。園内を飾るたくさんのクリスマスツリーは、2019年からスウェーデンのオーガニック認定機関KRAVの認証を受けたものに切り替えられていること、しかし2021年にはツリーの供給会社の認証が外されたために、現在は生産者との直接取引に切り替えていることなどもサステナブルレポートで報告されていました。
こうして夢の国を形作るひとつひとつのものに対して、持続可能な視点をもって改善しようと取り組み、その姿勢を詳細にレポートしてスタッフや来園者、ステークホルダーと共有するのは素晴らしいですね。
これは初夏に訪れた時の写真ですが、リセベリの入口前で信号をふと見あげると、ここにもウサギが。こんな仕掛けにもワクワクしてしまいますね。サステナブルな方法で夢を届ける遊園地、リセベリ。ぜひヨーテボリを訪れる際には緑のウサギに会いにいってみてくださいね(開園時期は要チェックです)!
さてこちらはコペンハーゲンのクリスマスマーケットにて。フェルトで作った冬らしいオーナメントが売られていて、見るとしろくまやペンギンに混じって、ひっそりと猫さんの姿も…!
本年も「スローに歩く北欧の旅 猫でテーブルを拭いてみる」を読んでいただきまして、ありがとうございました!今年はひさしぶりに現地を訪れて、いまの北欧の試みを取材することができました。来年もまたカボニューな取り組みをご紹介していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それではゴ ユール & ゴット ニュットオー(デンマーク語でメリークリスマス&よいお年を!)
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