自分の立場でできることを。環境問題への楽しい向き合い方
“環境にいいアクションって大変そう”
“情報があふれた時代、何が正しいのかわからない”
そんな悩みをお持ちの方。わかります、僕も同じです。
今日は、そんな悩みを抱えながらも、楽しく環境問題に向き合うための気持ちの持ちようや日常での小さなアクションをご紹介したいと思います。
環境負荷の小さいビールづくりを目指して
できる限り環境負荷の小さいビールの販売開始を目指して、現在、再エネで動かすことを前提とした醸造所づくり、原料の有機栽培、野生酵母の研究などに取り組んでいます。
これからの大きな挑戦は、カーボンフットプリントの見える化です。ビールの製造・輸送・廃棄だけでなく、原料や容器に関しても、排出される温室効果ガスの量の見える化を少しずつ進めています。どれも自分ひとりでできるようなことではないので、関係する企業や業界団体にも「環境負荷の把握と開示の重要性」を理解してもらい、協力して進めていく予定です。とても時間のかかることではありますが、「やるしかない!」と思っています。
他にも、ビール瓶を繰り返し使用するための流通網づくり、高知ではまだまだ一般的でない「量り売り」の普及、廃水処理設備のDIY、四国内で流通量の多くを販売する(遠くへ運ばない、地消の)ためのマーケティング、サプライチェーン全体の透明化などなど。いろいろあります。
ひとりからのスタートではありますが、気候変動を食い止める「小さくもポジティブな変化」になるよう、イチから学びと実践を繰り返しています。
その中で今回お伝えしたいのが、「環境問題への楽しい向き合い方」についてです。
「好きなこと×できること」からやってみる
ビール職人なので、言わずもがなですが、ビールが大好きです。好きだからこそ、持続可能であってほしい。そういう「好き」という気持ちが実は大きな原動力だと思っています。
そんなビール好きの僕が、日常でできる小さなアクションとして重宝しているのが「グラウラー」。カフェで飲み物を注文するためにタンブラーを携帯している方は多いかもしれませんが、実はビール(炭酸)用のもあるんです。ビールを冷たいまま、炭酸をキープして持ち運ぶことができます。
クラフトビール好きにはだいぶ浸透している「グラウラー」ですが、一般的にはまだまだだと思います。散歩やピクニック、キャンプなど、アウトドアが心地いい季節。ビールの量り売りをしているお店でお好きなビールを購入し、お友達にグラウラーでビールを注げば、「何それ!?」と会話が広がるかもしれません。
なにより、環境に配慮しながら飲むビールは、いつもより少し美味しく感じられます。
まずは自分の“好き”をきっかけに始めてみてください。
"正解はない"ことを受け入れる
気候変動という問題は、(当たり前ですが)まだ誰も解決したことがありません。マニュアルが存在しない、極めて大きく複雑な問題に僕たちは挑んでいます。
そんな問題にポジティブに向き合うために大切なのは、「正解はない」ことを受け入れる姿勢だと思っています。
これは決して、正しい(と思われる)情報へリーチすることや問題そのものの解決を諦めることではありません。「自分の立場でできることを“問い続ける”」姿勢を持つ、ということです。
この考えは、精神科医・帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)さんの著書『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』(朝日新聞出版)で書かれていた内容を参考にしています。本の中では精神医療の文脈で語られていましたが、同じく正解のない環境問題においても、大切な考え方だと思うのです。
一緒に歩く仲間を見つける
個人的な経験からもうひとつ、楽しくアクションするために大切だと思うのは「仲間を見つけること」です。
忙しない日々の中で、環境にやさしいアクションを自分ひとりで調べて実践することはなかなか大変。ひとりで取り組むと気づかなかった視点や、こぼれ落ちてしまう知識や情報も、仲間がいれば気づき、学ぶことができます。何より、仲間がいれば“楽しい”です。
ビールづくりを志して単身見知らぬ田舎に移住した個人的経験から言うと、その仲間は物理的な距離が離れていてもOKです。パートナーや家族、もともとの友人じゃなくても大丈夫。
僕も複数所属していますが、環境問題を一緒に考え取り組むオンラインコミュニティもいろいろとあります。そして不思議なことに、オンラインの仲間と楽しくアクションを続けていれば、物理的に身近なところにも仲間ができてきます。類は友を呼ぶ、あれはマジです。
最後に
環境問題は、残念ながら僕たちが生きている間に(完全に)解決するようなものではありません。
学べば学ぶほど、その道がどこまでも続いていることがわかってきます。その道はおそらく、1人で歩くには長すぎるほど。そんな環境問題だからこそ、できることから小さく取り組むこと、仲間とともに問い続ける姿勢が大切なんだと思います。