知って、直して、参加する。いろんな視点で楽しむ“サステナブルファッション”
“サステナブルファッション”を見聞きすることは増えてはいるものの、何がどうサステナブルなのかは、ブランドによってさまざま。今回は、「何となく良さそう」よりも一歩踏み込んで、服を買う前に、服を手放す前に、手放すときに、わたしたち生活者ができることを考えてみました!
1. 買う前に、自分の“似合う”と“好き”を知る
服はそもそも自分を表現する手段のひとつ。一着を長く愛するためには、服選びに入る前に、自分が愛せる服とは一体どんなものなのか、なりたい自分はどんなものなのか、一度思いを膨らませてみることが大切です。
だけど、そもそも自分が好きな服や似合う服がわからない...。自分だけで判断するのはなかなか難しいですよね。そんなときは、プロの手を借りてみることもおすすめです!
たとえば、自分の“好き”と“似合う”のどちらも諦めないことをテーマに、顔写真から似合う色やアイテムをプロ目線で教えてくれる『newRパーソナル分析』。似合わないと感じたからといって、諦める必要はなく、どうしたら似合う形で着られるかアドバイスしてくれるのが安心できるポイントです。
服を選ぶ前に、まずはいろんな角度で自分のことを知ってみる。長く愛せる服を見つける最初の一歩になるかもしれません。
■newRパーソナル分析
2. 色を、ほつれを、直して使う
いくら大切に使っていても、しみがついたり、ヨレヨレになってしまう。それはその服とたくさん過ごした証です。ポイと捨ててしまうその前に、修理や染め替えをすることで、もっと思い出の詰まった服になる。「カレーうどんが飛んじゃった!」なんていうハプニングも、服が生まれ変わるちょっとした楽しみに変化します。
「服を自分で手直しするのは大変」というときは、いわゆる「汚れ」をあらかじめ見越しておいて、アフターサービスが充実している服を買うのもひとつの手でしょう。汚れてしまってガッカリする気持ちも、プロの手によって新しい服に生まれ変わると思うと、ぐっと晴れやかな気持ちになります!
アフターサービスが充実しているファッションブランドとして紹介したいのが、「10年着続けたいと思える服」をテーマに変化をつづける『10YC』です。そのなかでもカボニューが目をつけたユニークな取り組みが2つ。
修理サービス『TSUGITASHI』と染め替えサービス『IROHEN』です。『TSUGITASHI』は、着ていくなかで起きる傷みやほつれ、破れなどを修理してくれるサービス。服は長く着るとどうしてもヨレてきてしまうもの。プロに手を加えてもらうだけで、ぐっと印象が変わります。
『IROHEN』は、褪せてしまった服やしみがついてしまった服に上から色を重ねてくれる染め替えサービス。「白が飽きちゃったから」という理由でももちろんオーケー。
買って終わりではなく、買ってから始まる服とのロングライフを楽しみましょう。
■10YC
3. オリジナリティあふれるリペアを楽しむ
服のリメイク・リペアは、プロにお願いすることもできますが、自分の手でやってみるのもひとつの楽しみ。リペアというと、汚れや穴を「隠す」イメージが強いですが、その汚れや穴をクリエイティブなアイデアで自分らしく彩ってみる、そんな楽しみ方もあるかもしれません。
Instagramには、『#MendItMine』というハッシュタグでおこなわれているファッションムーブメントがあります。「メンディング(服のリメイク・リペア)を通して服に新しい命を吹き込み、自分らしさを表現する」をテーマにした『Mend It Mine』のInstagramアカウントでは、さまざまな人たちのメンディング作品が発信されています。
お気に入りの絵柄の刺繍をほどこしたり…
左の作品は、袖口の指を入れるところが擦り切れてしまったので縫い糸で補強したもの。右の作品は、漂白剤がかかってチェック柄が消えてしまった部分をメンディング!
あがってくる作品のほとんどは、汚れや穴をあえて「目立たせる」楽しいデザインばかり。メンディングをすることで自分だけのオリジナルな服に生まれ変わります。他の方々の作品に刺激をもらいながら、ぜひトライしてみては?
■『Mend It Mine』のInstagram
4. 循環の輪に“着ること”で参加する
私たちがいくらリペアをしても、どうしても着られなくなってしまう瞬間もあるのもまた事実。そんななか、捨てることを前提としない服づくりに挑戦する取り組みにも注目したいと思います。
そもそも服を循環させるためには、“リサイクルのしやすさ”が大切です。いろいろな化学繊維が混ざっている服だと、服から服に生まれ変わる水平リサイクルの設計が難しいため、なるべく同質の布・糸を使用します。他にも、リサイクルする前のリペアやリメイク、ユーズド販売の充実ももちろん大切。そういった循環をあらかじめデザインしてくれているブランドは、とても心強いですよね。
そんな手放す瞬間までしっかりと向き合い、大小問わずさまざまな循環の輪をデザインするブランドが『land down under』。2021年に始まり、現在工場で廃棄される予定だった「規格外生地」を適正価格で買い取り製品づくりをおこなっています。
目指す姿は、廃棄を前提しない「循環するジーンズ」。リサイクルのしやすいものづくりを中心に据えたうえで、現在では他社製品も含めた綿100%のジーンズの回収をおこない、それらを使った新たな商品を計画中なのだそう。穿いたり、回収してもらったり、循環の大きな輪、小さな輪の一部に参加できるブランドです。
また、すでにキナリのテーパードパンツなども販売されていますが、ジャケットやシャツなどジーンズ以外のアイテムも今後発売予定とのことで、期待が膨らみます。
他にも、2022年4月から、アンダーウェアブランド『HIKARI underwear』と共に、ものづくりを考え、体感するオンラインコミュニティ『bethink_』をスタート。ものづくりの現場に足を運んだり、学ぶ仲間同士で感じたことをシェアしたり。
「サステナブル」を頭で理解するだけではなく、服が循環していくことのおもしろさを身をもって体感してもらいたい。そうすることで、生活者にとっても生産者にとっても「義務」ではなく「やりたい・おもしろそう」から循環を始められるのではないか、そんな思いからスタートしたそう。まずは眠っているジーンズを持って行ってみたり、ユーズドの魅力を発見したり、仲間と共に学んでみたり。循環の輪に参加してみてはいかがでしょうか。
■『land down under』ECサイト
■『bethink_』instagram
5. 燃やす以外の捨て方で
“サステナブルファッション”を考えるとき、何となく「選ぶ」に注意が向きがちです。しかし、生ごみをコンポストに入れるのと同様に、「捨て方」に目を向けることも大切です。燃やす以外の捨て方は何かないか、探してみました。
そこで見つけたのは「土に還す」ことができる新素材『リテラ』。生分解性素材でできた『リテラ』のエプロンは、土に埋めてからおよそ1年と少しで土に還り堆肥化されます。
いままでは制服などを中心に使われていた素材ですが、4月から生活者向けのECサイトもスタート。街にある共同コンポストでの回収も目指しているそうです。服は捨てず土に還すことが定番になる日も近いかもしれません。
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いろんな視点から見ることができる“サステナブルファッション”。環境にいいと言われる商品を「選んで終わり!」ではなく、出会い方や捨て方、リメイク・リサイクルと、幅広くとらえてみることで、新しい楽しみ方が見つかるかもしれません。