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【スローに歩く、北欧の旅#3】サンナ・マリン首相来日〜フィンランドが目指すデジタル化☓グリーン政策

みなさん、こんにちは。ライターの森百合子です。カボニューにつながる、北欧での体験を紹介するこの連載。今回はちょっと趣向を変えて、国内からのレポートです。

この5月に初来日されたフィンランドのサンナ・マリン首相による基調講演でのデジタル化推進とグリーン政策についての言葉をご紹介したいと思います。


注目されるサンナ・マリン首相

2019年12月に、34歳とフィンランド史上最年少で首相に就任したサンナ・マリン氏。就任後すぐに直面したコロナ禍でもリーダーシップを発揮し、名実ともにフィンランドを率いる人物として注目を集めています。
マリン首相は5政党から成る連立内閣の第一党、社会民主党の党首ですが、ほか4政党の党首がみな女性であることも話題となりました。

ジェンダー平等や育児、教育支援の充実に力を入れ、格差社会をなくし、ウェルビーイングな社会を目指すマリン首相はグリーン政策にも意欲的。世界に先駆けて2035年までにカーボンニュートラル達成を目指すという大胆な目標を掲げています。

この5月の初来日では、岸田首相との会談の様子がニュースでも報じられましたが、フィンランドのデジタル分野のエキスパートとともに安田講堂で行われたセミナー「デジタル化の社会的インパクト~Beyond 5Gの推進に向けて~」にも出席し、基調講演をされました。

デジタル化とグリーン改革

講演では、デジタル化推進における原則と目的を強調。
第1に信頼がベースであること。第2に誰もがアクセスできる平等性。第3に、これまでよりも人間中心的なアプローチが必要であること。第4に、デジタルの変化はグリーンな移行を促進するものでなければならないこと。そして第5に信頼できるパートナーの重要性をあげ、セミナーの本題となるフィンランドと日本とのパートナーシップが重要であることを強調しました。

グリーン移行について語るくだりでは、デジタル変革がグリーンエコノミーに欠かせないこと、ICTセクターが温室効果ガスの排出削減に寄与するであろうことを述べる一方で、持続可能なデジタル化を実用的な手段で推進することができる例として、フィンランドには世界で最もエネルギー効率の高いデータセンターがあることにも触れました。

本セミナーは日本の総務省、駐日フィンランド大使館およびビジネスフィンランドによる開催で、続くパネルディスカッションでは、東京大学やフィンランドのオウル大学の教授、研究開発機関の教授、ノキアのCEOやNTTドコモの副社長が登壇。産・学それぞれのデジタルエキスパートが意見交換をしました。

医療や教育などの分野とともに気候変動やカーボンニュートラルへの取り組みでビヨンド5Gが欠かせないこと、リアルタイムでの分析やデータなくしてはグリーン変革は達成できないことが複数のパネラーから指摘されていました。

フィンランドとの協力関係のなかで、どのようなデジタル化推進とグリーン移行が進められていくのか、今後の具体的な動きにも注目していきたいですね。マリン首相の言葉に戻りますが、デジタル化なくしてグリーン改革ができないのと同時に、デジタル化においても持続可能な方法が必要であるという指摘にはハッとさせられました。フィンランドとの取り組みから私たち個人も、気づき学べることは多そうです。

ちなみにフィンランドは大統領を元首とする議員内閣制であり、首相と大統領がいる国です。前大統領のタルヤ・ハロネン氏は同国初の女性大統領。猫好きで、在任中は官邸のホームページに愛猫ミスカのコーナーもあったんですよ。

フィンランドの蚤の市で会った大きな黒猫さん。ミスカにちょっと似ています。それではモイモイ(フィンランド語で「バイバイ」)!

プロフィール  森 百合子(もり ゆりこ) 
北欧5カ国で取材を重ね、ライフスタイルや旅情報を中心に執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧ゆるとりっぷ』(主婦の友社)、『いろはに北欧』(学研プラス/地球の歩き方)など。執筆活動に加えてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』『趣味どきっ!』などメディア出演や、講演など幅広い活動を通じて北欧の魅力を伝えている。築88年の日本家屋に暮らし、北欧デザインを取り入れたリノベーションや暮らしのアイデアも実践中。 
HP:https://hokuobook.com
Instagram:@allgodschillun



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