メイクから環境を守る一歩を。メイクアップアーティストが薦める、地球にやさしい12のアイテム
日常の中で、なるべく環境に負荷をかけないアイテムを使いたい。けれど、何から始めたらいいのかわからない。
そんな方は、日々使うメイクアイテムを少しだけ見直してみてはいかがでしょう?
今、メイクの世界に「エシカルコスメ」という概念が広まりつつあります。エシカルコスメとは、「エシカル=倫理的」という意味の通り、人や社会、環境をなるべく傷つけることなく生産・流通しているコスメのこと。
今回は、エシカルコスメに詳しいメイクアップアーティスト・坪井茉衣良さんに、環境にやさしいメイクアイテムを教えていただきました!
※本記事は2022年6月に作成したものです。価格や在庫状況は各HPなどでご確認ください。
監修者プロフィール
環境にやさしいコスメ選びの4つのポイント
一言で「環境にやさしいコスメ」と言っても、自然環境の問題もあれば、「製造過程で誰も傷つけていないか」といった倫理的な問題もあります。私がコスメを選ぶときに気をつけているポイントは、大きく4つです。
容器・材料が環境に配慮されているアイテム
1.使い終わった容器はリサイクル。肌馴染み◎のリップ&チーク
ナチュラグラッセのアイテムは、店頭のボックスで容器を回収してリサイクルしているので、プラスチックの廃棄が出ず環境にやさしいんです。
「タッチオンカラーズ」はリップやチークに使える練りタイプのカラーコスメ。指でざっと塗っても失敗せず、すっぴんのような血色感を演出できます。「モイストバームルージュ」は、天然色素ならではのくすみを活かしたリップ。肌に馴染みやすい色なので、ヘアメイクの仕事でもよく使います。
どちらのアイテムも色展開が豊富で、オレンジ系、ピンク系、レッド系など定番の色がひと通り揃うのがうれしい。
2.紙パッケージのファンデーション&ハイライター
LUSH(ラッシュ)の「スラップスティック」はパッケージが紙の固形ファンデーション。持ち手の部分は植物由来のロウでできています。伸びがいいので、ブラシで塗っても、直接顔に塗って手で伸ばしてもOKです。
「ピピット グロースティック」は自然な立体感を演出できるハイライターで、アイシャドウやチークとしても使うことができます。
一般的な化粧品に含まれるラメはプラスチック製が多く、「マイクロプラスチック」と呼ばれる海洋汚染の原因のひとつにもなっています。しかしLUSHのコスメにはプラスチックが使われておらず、その点も信頼できます。
3.ボトル容器を使わない固形シャンプー
葉っぱ型が可愛い固形シャンプー。液体シャンプーと比べ、ボトル容器を使っていない、製造段階での水の使用量が少ない、パッケージが小さくかさばらないので運ぶ段階でのCO2排出量が少なく済む……などの点がエシカルです。
とても泡立ちがよくて、シャンプー直後は若干きしみを感じますが、リンスをすると滑らかになるので問題ありません。同じブランドからリンスも出ています。
また液体が漏れる心配がないため持ち運びやすく、旅行のときにとても便利。髪の長さや使い方にもよりますが、セミロングの場合、2か月くらい持ちますよ。
4.トウモロコシやジャガイモから生まれた、石油系溶剤を使わないネイルカラー
ネイルマティックはパリのブランドで、84%がトウモロコシやジャガイモなど植物由来の原料でできたネイルカラーを製造しています。石油系溶剤を使っておらず自然にやさしいのに、使用感は一般的なネイルカラーと変わらず、一度塗りでもしっかり発色します。
また、ネイルマティックは製品の梱包を身体の不自由な方の施設にお願いしているそうです。環境への配慮だけでなく、雇用面でも応援したくなる取り組みをされています。
オーガニックな原料にこだわったアイテム
5.農薬・除草剤・殺虫剤不使用の原料から生まれたオーガニックヘアワックス
オーガニックのヘアケアブランド・オーウェイのヘアワックスです。このブランドは原料となる植物を自社の農場で作っているのですが、環境に配慮して、農薬や除草剤、殺虫剤などを一切使用していないんです。
植物由来のワックスは重ためのバームのような質感が多い中、この商品はクレイが入っていてべたつきが少ないのが特徴。ホールド力は「ソフト」から「超ハード」まであるので、好みのテクスチャーを選んでください。
また、このブランドは香りが特徴的。これはオレンジとバニラが混ざったような香りで、とても気に入っています。
動物や野生生物に配慮したアイテム
6.動物実験ナシ。軽いテクスチャーのヴィーガンクリーム
アヴェダはアメリカの会社で、商品はすべてヴィーガンコスメ(動物性の原料を使わないコスメの総称)。動物由来の原料を使っておらず、もちろん動物実験もおこなっていません。またアヴェダは本社敷地内の鳥類繁殖地の保護をおこなうなど、野生生物の保護に積極的な企業としても知られています。
「ボタニカル キネティクス インテンス ハイドレイティング クリーム」は、スキンケアに使用するクリームです。軽いテクスチャーで夏にも使えて、メイク前に塗っても化粧くずれしません。
天然香料で、ややハーブっぽい自然な香りがポイント。人工香料が苦手な方にもおすすめです。一部店頭で容器を回収し、リサイクルも行っています。
7.100%ヴィーガン、100%フェアトレード。ツヤ感たっぷりのバーム
100%ナチュラル素材、100%ヴィーガン、100%フェアトレードをかかげるブランド。「オーラアクセントバーム」は、オーガニック原料から作られた、チークやアイシャドウ、ハイライターとして使えるクリームです。
クリーム状のコスメは動物由来の成分(ミツロウや羊の毛から取れる成分など)が使われることが多いですが、この商品は植物由来の成分だけでできています。もちろん動物実験も行われていません。
ヴィーガンコスメと聞くとナチュラルな発色をイメージする方も多いと思いますが、これはギラっとした発色で、みずみずしく健康的なツヤ感を演出できます。シルバーを目頭と鼻筋の間につけると、驚くほど目元がパッと明るくなりますよ。
8.メイクツールもエシカルに。動物毛を使わないブラシと洗えるコットン
メイクブラシはリスやタヌキなど動物の毛を使ったものが多いですが、エコツールズのブラシは合成素材。ハンドル(持ち手)は「持続可能な植物」と呼ばれる竹が使われています。パッケージもリサイクルプラスチックで、環境に配慮しています。やわらかくて肌触りもいいし、使い心地は天然毛のメイクブラシと変わりありません。
そして、化粧水をつけるときやメイクオフなど、スキンケアに欠かせないのがコットン。使い捨てのイメージが強いコットンですが、「リユーザブルバンブーコットン」は何度も洗って繰り返し使えます。こちらも、使い勝手はふつうのコットンと変わりません。私は化粧水をたっぷり染み込ませてパックするのが好きですね。
カーボンフットプリントに考慮したアイテム
9.国産の無農薬ハーブから作られた、しっとり潤う化粧水
chant a charm(チャントアチャーム)は、100%自然由来成分から生まれたオーガニックスキンケアブランド。こちらの化粧水は肌がしっとりと潤います。国内の自社農場で育てられた無農薬ハーブエキスを使い、日本国内で製造されているため、カーボンフットプリントが少なく済みます。
さらに注目したいのは、このブランドがカーボンニュートラルを達成していること、そしてアイテムが再生可能エネルギーの電力を利用した工場で作られていること。発電は環境への影響が大きいので、電力の選び方にこだわっている企業は信頼しています。
難しく考えず、身近なところから
エシカルコスメについてSNSなどで発信していると、「選び方や使い方を教えてほしい」とDMが来ることも増えました。
「エシカル」と聞くとなんだか難しそうに感じる方もいると思いますが、あまり難しく考えなくていいと思います。まずは身近なところから始めればいいのかなと。
たとえば新しいコスメを買うとき、「本当にこの商品を買う必要があるか?」と考えてみる。アイシャドウにクリームを混ぜてテクスチャーを変えるなど、意外と手持ちのコスメを混ぜれば代用できることもあります。
新たにエシカルコスメを購入するのであれば、選ぶうえで一番大切なのは、その商品を使って気持ちが明るくなるかどうかだと思います。せっかく買っても、自分のライフスタイルに合っていなかったり、使用感に不満があったら使わなくなりますから。
コスメをひとつ変えるなど、まずは身近なところから環境を意識してみる。みんなが少しずつ変われば、大きな変化になるかもしれません。
取材・執筆=吉玉サキ
撮影=飯本貴子
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