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【スローに歩く、北欧の旅#34】自転車の町コペンハーゲンで、実際に乗ってみた!①

みなさん、こんにちは。北欧を旅するライターの森百合子です。カボニューにつながる、北欧での体験を紹介するこの連載。自転車の町コペンハーゲンでつ・い・に!自転車に初挑戦した体験を、2回に渡ってお伝えしたいと思います。今回はシェアサイクルの使い方と、各社乗り比べてのレポートです。


ますます便利に借りられる自転車

2005年に初めてコペンハーゲンを訪れて以来、いつかは挑戦してみたいと思っていた町中サイクリング。これまでにも住宅街をちょろっと走ったことはあったのですが、町中となるとサイクリストの多さ、そして走るスピードにいつも圧倒されてしまい、乗ってみたいと思いつつ「またの機会に……」と先延ばしにしていたんです。でも旅に行けない間に「次こそは自転車デビューをしよう」と日々せっせと自転車に乗って体力をつけまして、コロナ禍後に訪れたひさしぶりのコペンハーゲンで、ついに挑戦することができました!

コペンハーゲンではシェアサイクルがすっかり浸透し、以前のように決められたステーションで借りて戻すレンタル自転車と異なり、今いる場所の付近から借りて目的地の近くでほぼ乗り捨てOKなのは旅行者にはありがたいところ。シェアサイクルの会社はいくつかあって、今回は町中でもっともよく見かけるドンキーリパブリックを利用することに。コペンハーゲン発のシェアサイクル会社で、オレンジ色の車体が目印です。

まずはアプリをダウンロード。借りるその場で手続きすることもできますが、アカウントを作る際に電話番号やクレジットカードの登録が必要になるので、事前にアカウントを作っておくとスムーズです。

アプリを開くとマップ上で現在地の近くで借りられるバイクのスポットが提示されます。面白いのは、各自転車には名前が付けられていること。私は「Max Huber」氏を借りることに。

名前が記されたパネルはバンド付きで、ナビゲーション用にスマートフォンを取り付けることができます。自転車前方にはストラップ付きのかご、座面の後ろにはリアキャリア(荷台)付き。北欧は身長が高い人が多いので自転車が大きすぎたらどうしようとの不安もありましたが、座面を調節すれば身長160センチほどの私でも問題ありませんでした。

お目当ての自転車を見つけたら「Unlock」を押すと、開錠してレンタルスタートとなります。使用料金は走行距離に応じて支払う「Just Ride」のほか、2時間~24時間など乗り放題のコースもあり、最大7日間まで選べます。「Just Ride」の場合は15分で17デンマーククローネ、30分で22クローネ、1時間で33クローネ(2023年8月時点。1デンマーククローネは約21円)と長く乗るほど割安になります。

電動自転車も増加中

今回は、せっかくなので電動自転車も乗り比べてみようと、Tierという会社も利用してみました。アプリから電話番号やクレジットカード番号を入力してアカウントを作り利用するのはドンキーリパブリックと同じ流れです。マップ上で自転車を探す際には、各自転車のバッテリー残量も表示されるので確認します。レンタルする自転車を見つけたら、画面上のQRコードのマークをタップして、自転車本体のハンドルの間にあるQRコードをスキャン。そうすると後輪にささっているケーブルが外せるので、そのケーブルを後輪上部にある穴に差し替えて利用スタート。

ハンドルを見ると「あなたの乗り物は、クライメート・ニュートラル(気候中立)です」と書いてありました。簡単なメッセージですが、「いい選択です!」と背中を押されている気分になりますね。

さて実際に乗ってみたところ……通常の自転車の後に乗ると、やはりペダル漕ぎがラク!少し漕ぐだけで、ぐいぐいと進みます。ただし、実際に走ってみるとコペンハーゲンの町はつくづく平坦でアップダウンが少ないことを実感しましたし、ゆっくり走っている人もいるとわかったので、価格(通常の自転車よりも少し割高です)やバッテリー残量を気にすることまで考えると、短時間での走行なら電動でなくても大丈夫そうです。次回はドンキーリパブリックで2時間〜半日レンタルくらいがちょうどいいのではと思い至りました(ちなみにドンキーリパブリックでも電動自転車があります。電動自転車の場合はマップ上で探す時に雷のようなマークが表示されます)。

使用終了時に気をつけるポイント

目的地に着いて利用を終了する際には会社によって返却方法が少し異なります。まずドンキーリパブリックの場合は、アプリのマップを開いて「Drop Off」できる場所を確認します。ドロップオフの場所から10メートル以内に停めればOKですが、離れた場所に乗り捨てした場合は別料金が発生するので注意しましょう。停めて鍵をかけたら、アプリで「End Rental」ボタンを押して終了となります。鍵をかけただけでは終了とならないので、そこも注意が必要です。

Tierの場合は、近くの自転車置場や舗道などじゃまにならない場所であれば基本的に乗り捨てOKです。停めてからケーブルを差し込んで、「end ride」ボタンをタップして終了となります。

アプリで終了する際に「空気をきれいに保つ手助けをしましたね」と画面にメッセージが出てきたのも嬉しかったですね!ハンドルに書いてあった言葉もそうですが、「おお、自分もすこし関われたぞ」という気分になりますし、こうしたちょっとしたメッセージが繰り返し目に入ることで、意識がじわじわと変わってくるのかもしれないなあと思いました。

そうそう、利用時にヒヤリとしたのがスマホのバッテリー残量です。利用スタートから返却まで、すべてアプリを通してのやりとりとなるので、スマホが切れてしまうと返却ができなくなってしまいます。電動自転車やスクーターのバッテリー残量だけでなく、利用時にはスマホの充電を確認しておきましょう。心配な方はチャージャーをお忘れなく!

次回は実際に自転車で走ってみてよかった場所や、コペンハーゲンの自転車ルールについてご紹介します。

自転車置き場からすっと現れたもふもふの猫さん。デンマーク語で自転車はシーケルといいます。それではハイハイ(デンマーク語でバイバイ)!

プロフィール  森 百合子(もり ゆりこ) 

北欧5カ国で取材を重ね、ライフスタイルや旅情報を中心に執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧ゆるとりっぷ』(主婦の友社)、『いろはに北欧』(学研プラス/地球の歩き方)など。執筆活動に加えてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』『趣味どきっ!』などメディア出演や、講演など幅広い活動を通じて北欧の魅力を伝えている。築88年の日本家屋に暮らし、北欧デザインを取り入れたリノベーションや暮らしのアイデアも実践中。 
HP:https://hokuobook.com
Instagram:@allgodschillun

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