毎日使う「電気」。私たちにできる地球にもやさしい上手な使い方とは? 四国電力・よんでん先生に聞いてみた!
毎日の生活に欠かせない「電気」。使えることが当たり前だけど、どのようにつくられ、環境にどんな影響を与えているか、意外と知らないことだらけ!そこで、今回は四国電力のよんでん先生こと、門田さん、熊野さんに「電気と環境の関係」について教えてもらいます。最近よく耳にする「再生可能エネルギー」についてもお話しいただきました。
日本の電気の約8割は、火力発電で作られている
――まずは日本の発電状況について教えてください。
現在(※1)、日本で使われる電気の76%は火力、4%を原子力、そして残りの20%が水力・太陽光・風力・バイオマス・地熱などの再生可能エネルギーによって作られています。
※1)2020年度の数値
――ほとんどが火力発電によって作られているんですね。
火力発電所では、石油・石炭・天然ガスなどを燃やしてお湯をわかし、そこから得られた蒸気の勢いでタービン・発電機を回転させて電気をつくっています。
火力発電は、安定してたくさんの電気をつくることができます。また、他の発電方法と比べて、発電量の調整がしやすいという特徴があります。こうしたことから、現在、火力発電は重要な供給力としての役割を果たしています。
ただし、発電時にCO2を排出するのがデメリット。また、燃料のほとんどを輸入に頼っているため、国際情勢の変化によって発電コストの高騰や燃料不足が起こる恐れがあります。
――では、原子力発電はどうでしょうか?
原子力発電は、ウランという物質が核分裂反応をするときに出す熱を利用して水を高温にし、そこから得られた蒸気の勢いでタービンを回して発電する方法です。蒸気のエネルギーを用いる仕組みは火力発電と同じです。
原子力発電は、わずかな量の燃料で大量の電気を連続してつくり続けることができ、発電時にCO2の排出もありません。ただし、放射性物質を取扱うことになるため、厳しい管理が必要となります。
自然の持つ力を利用して作り出す「再生可能エネルギー」
――そこで注目されているのが再生可能エネルギーというわけですね。
世界の多くの国々では、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を削減するための目標を掲げ、取り組みを進めています。
日本も、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しており、発電時にCO2を出さない再生可能エネルギーの一層の導入が期待されています。
――再生可能エネルギーとは具体的にどのようなものを指しますか?
再生可能エネルギーとは、自然界に常に存在し、くり返し利用できるエネルギーのことです。再生可能エネルギーを利用した主な発電方式には、太陽の光を利用した太陽光発電、風の力で風車を回して発電する風力発電、日本の豊かな水の力を利用した水力発電、火山の多い日本の地中にある熱エネルギーを利用した地熱発電、生物由来の資源を燃やして発電するバイオマス発電などがあります。
――たくさんありますね。では、どうして再生可能エネルギーは環境に優しいのでしょうか?
ひとつは、原子力と同じく発電時にCO2を排出しないから。また、CO2以外の大気汚染物質を排出しないため、地球へのダメージも軽減することができるんです。
自然の力を利用するため、基本的には資源が尽きることはありません。再生可能エネルギーを利用した発電が主流になっていけば、石油などの資源をほとんど産出しない日本でも「国産のエネルギー源」の確保が可能になるので、エネルギー自給率を高めることができるでしょう。
――そんなにいいことづくしのエネルギーなら、全てを再生可能エネルギーでまかなえるとよさそうですね。
実際、日本での導入量は増加傾向にあります。太陽光パネルを屋根に設置しているご家庭をよく見かけるようになりましたよね。しかし、再生可能エネルギーを利用した発電は、発電量が自然条件によって左右されるため、現在の技術では安定的に全ての電力をまかなうのは難しいのが実情です。
そこで、大切になってくるのが「エネルギーミックス」という考え方です!
発電方法をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」で、必要な電力量を確保する
――エネルギーミックスとはなんですか?
どれか一つの発電方法に依存するのではなく、「さまざまな発電方法をバランスよく組み合わせましょう」という考え方のことです。
これまでお話ししたように、それぞれの発電方法にはメリット・デメリットがあります。そのため、それぞれの強みを最大限に生かして弱みを補い合うことが重要です。
――具体的な方法を教えてください
皆さんが必要とされる電気の量は時々刻々と変化します。電気は貯めておくことができないため、常に必要とされる量にあわせて発電していく必要があるのですが、この際、それぞれの発電方法の得意な部分をうまく利用しているのです。
具体的には、一定の出力で昼夜を問わず安定した発電が得意な原子力発電をベースにしながら、出力の調整がしやすい火力発電を組み合わせて需要の変化に対応しています。また、火力発電は、太陽光発電や風力発電の出力変動をバックアップする重要な役割も担っています。そうすることで、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで作る発電量のばらつきを支えることができます。こうした役割分担で、常に安定的に電気をお届けしているわけです。
さらに、「できるだけ安く」「地球にやさしい方法で」という視点も重要です。エネルギーミックスの実現には、安全性(Safety)を大前提に、安定供給Energy Security)、経済性(Economic Efficiency)、環境(Environment)のバランスを考える「S+3E」の視点が大切だと考えています。
――今後、再生可能エネルギーの比率は増えていくのでしょうか?
CO2排出量の削減に向け、国も再生可能エネルギーを最大限活用していく方針を示しています。当社としても、再生可能エネルギーについて、国内外で2030年度までに50万kW、2050年度までに200万kWの新規開発を目標に掲げ、積極的に案件の発掘・開発を進めています。
――注目されている再生可能エネルギーの中でも、今後発電量が伸びそうなものはなんですか?
開発速度が速く比較的容易に設置できる太陽光発電は、今後ますます発電量を増やしていくと思います。また、風力発電も洋上を中心に開発が期待されている電源の一つです。
よんでん先生にまなぶ!今日から始められる地球にいいアクション
――地球にもやさしい、電気の上手な使い方を教えてください。
家庭で使用する家電の中で特に電力を使っているのはエアコンです。まずは、エアコンをうまくコントロールすることが「電気の上手な使い方」につながります。
たとえば冬場の場合、エアコンの設定温度を控えめにする。それで室内が寒ければ重ね着をしたり、カーテンなどを利用して外気をカットしたりするのもよい方法です。さらに、扇風機や加湿器を併用すれば、暖まった空気が室内を循環するので体感温度が上がります。
他にも照明なら、白熱電球をLEDランプに取り替えるだけでも大きな省エネ効果があります。また、使わない照明やテレビはこまめに消すのもいいでしょう。
大袈裟なことをしなくても、一人ひとりが小さなことに気づいて行動するだけで、省エネ効果があると考えています。
――それなら私たちにもすぐにできそうです!
家電の使い方だけでなく、生活の時間帯をほんのちょっとずらすのもいいでしょう。たとえば冬場は、暗くなり、みんなが電気をつけ、食事の支度を始める夕方頃になると消費電力のピークを迎えます。お風呂の時間をずらしたり、炊飯ジャーのタイマー機能を利用したりして、使用する電力を分散させるだけでも立派な省エネですよ。
よんでん先生、お話ありがとうございました!
地球にやさしい暮らしのために必要なのは、正しい知識と小さな工夫なんですね。私たちと一緒に無理なく、小さな工夫を積み重ねていきませんか?
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次回は、今後さらに注目を集めるとされている「再生可能エネルギー」の中の太陽光発電をピックアップ! 四国という地域の特徴をいかした「水上太陽光発電」の現場へ、カボニュースタジオが突撃します。水上太陽光発電とは、どのような形でエネルギーを作るものなのか? どうぞお楽しみに!