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四国電力・よんでん先生と学ぶ! “水の上の太陽光発電所“で、大人の社会見学

前半に引き続き、後半もよんでん先生が登場。香川県の地理的特徴を最大限にいかした、再生可能エネルギー「水上太陽光発電所」を紹介します。水の上で発電!? いったいどんなしくみになっているのか実際の現場を見学させてもらいました。

地形と気候をいかした「ため池発電」

――前半のお話の中で再生可能エネルギーの代表的な種類やそれぞれの特徴についてお伺いしました。今回は、ため池を使った水上太陽光発電の発電方法についてお聞かせください。

よんでん先生こと、四国電力 再生可能エネルギー部の門田さん

水上太陽光発電とは、地面ではなく水面に太陽光パネルを浮かべて行う太陽光発電のことです。香川県にはため池が多く存在し、兵庫県、広島県に次いで全国第3位。県土の総面積に対してのため池の密度は全国一です。いくつもあるため池を有効利用した、再生可能エネルギーに対する取り組みの一つです。

――ため池がそんなに多いとは知りませんでした。

香川県は元々雨が少なく、川が少ない土地なんです。そのため、農業用水を確保する必要があり、ため池がたくさん作られてきました。香川用水の通水以前は、農業用水の約70%がため池に依存していたといわれています。現在のため池依存度は約52%と当時に比べて大幅に減少していますが、全国平均と比べるとまだまだ上回っている状況です。

――香川県の特徴を最大限に利用した発電というわけですね。

ため池が多い背景には、香川県がもつ土地の特徴があります。雨が少ないということは農業にとっては大変なことですが、太陽の光を利用する太陽光発電には向いているということ。土地の持つ自然条件を有効活用しながらエネルギーを作り出す方法として取り組んでいます。

環境への負荷が少ない発電所

――水上太陽光発電ならではのメリットはあるのでしょうか?

ひとつは、なんといっても発電所を作るまでの時間が短いこと。ため池発電では、太陽光パネルを「フロート」と呼ばれる浮きに乗せて水面に浮かべ、アンカーで固定して作り上げます。
通常の太陽光発電では、太陽光パネルに太陽の光がなるべく当たるようにしなくてはいけないので、地上に作るためには敷地を造成しなくてはいけません。実際にパネルを設置する前の準備にもすごく時間がかかります。

しかし、ため池なら敷地造成の必要はありません。すでにため池という広い場所があるわけですから、これを有効利用することで環境への負荷も少なく、稼働までの工期も少なくて済むのが大きなメリットと言えます。
 
また、地上に太陽光パネルを設置すると、夏場の暑さでパネルの温度が上がりすぎてしまい、発電効率が落ちることもあります。水上なら水面の温度が低いためパネル温度の上昇を抑えることができ、発電効率も保つことができます。

いざ、「水上太陽光発電所」を見学!

さて、香川県さぬき市にある、長谷池水上太陽光発電の見学にやってきました。
水の上に並んだ太陽光パネルは、なんと圧巻の2548枚

地上からは、フロートが足場としてつながっています。定期点検やメンテナンスの際にはフロートの上を歩いて、太陽光パネルまで行くそう。
ちなみに、2548枚の太陽光パネルは、地上から池に降りる滑り台からシューっと滑らせて設置したそうです!

太陽光パネル1枚の大きさは、だいたい大人が手を広げたくらいの横幅。この太陽光パネルは、約30年の耐久性があるそう。修理などのことを考えると、太陽光発電において「耐久性」は欠かすことのできない条件だそうです。

近くで見ると、一枚一枚のパネルからケーブルが出ています。このケーブルが池の外までつながり、電気を送っているんだとか。

池の外には、発電した電気を送るための機械が設置されています

“水の上の発電所”を間近で見学したあとは、この発電所でどれくらいの電気が作られているのか、さらに「再生可能エネルギー」の今後について、よんでん先生にお伺いしました!

「ため池発電」の発電量と今後

――ため池発電でどのくらいのエネルギーが作られているのですか?

現在は年間約140万キロワットアワーの電気が作られています。これは450世帯が1年間暮らすために必要な電力量に相当します。

――そんなに!? 想像よりもたくさんの電気が作られているんですね。

国の方針としても、再生可能エネルギーの割合を増やしていく方向で進んでいますし、私たちのもとに届くお客さまの声からも、再生可能エネルギー電源の更なる開発・導入が求められていることを感じています。家庭や職場、全てにおいて電気のある生活が当たり前になっていく一方で、環境への意識や配慮も高まっているのだと痛感しています。多くの人の気持ちを受けて、これからはますます、太陽光発電に対する期待も高まっていくのではないかと思います。

――よりいっそう、ため池発電への期待は集まりますね。

そうですね。私たちとしても、安全面や環境への影響など、十分に確認した上で導入を進めていけるよう計画し始めています。多くの電気が必要な時代だからこそ、一人でも多くの人に、水上太陽光発電、再生可能エネルギーへの興味も持っていただけるようにエネルギー供給を支える責任ある事業者として積極的に取り組んでいきたいと考えています。

――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

現代の豊かで便利な生活を支えるために使われる電力の多くを再生可能エネルギーに切り替えるにはまだ時間がかかると思います。しかし、私たちは諦めることなく、そこを目指して進んでいきたいと思っています。その日が来るまでは、既存の発電方法をうまく活用し、安定した供給量を確保していくことが大切であると同時に、無駄な電力消費を減らしていくことも大切だと考えています。

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よんでん先生、ありがとうございました!実際に水上太陽光発電所を間近で見ることで、「電気」がある生活は当たり前ではなく、地球の資源に支えられていると感じることができました。
大袈裟なことではなく、使わない電気を消す、エアコンを適温にするなど、小さいことから始めてみる。「電気」を通してできる地球にやさしいアクションをこれからもつづけていきたいです。


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